骨を再生する治療
歯槽骨の量が不足している場合に、他の場所から骨を採取し補う治療を行います。移植する骨は、本人の歯槽骨やあごの骨から採取する場合が多く、手術の範囲も限られています。
■骨移植の手順
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術前検査~最初の段階で、骨の量、幅、形を十分把握する必要があります。
外から見て歯肉が十分な厚みがあるから骨量・幅も十分あるかというと、じつは中の歯槽骨は吸収が進んでいて、見た目ほど骨がないケースがあります。レントゲンやお口の模型をつかって、十分精査する必要があります。
[2]
前処置~骨を移植する部位の周囲に歯周病やむし歯がある場合には、きちんと治療したのちに移植をおこなう必要があります。
これは、移植部の感染防止には必ず必要となります。
[3]
移植手術~通常、静脈内鎮静法を施したのち、局所麻酔でおこないます。
手術時間はだいたい2時間程度です。
骨を採取する場所ですが、オトガイ部(下顎の中央部)または下顎枝部(下顎の親知らずがある位置の奥)から採取します。
採取の方法は、歯肉を切開した後、ドリルで削って取っていきます。また、コンコンとノミを使っても採取します。(型はブロック状か細かく砕いた形で切り取ります。)採取したところはそのまま自然に元の状態に戻ります。
骨の不足しているところに、ブロック状に採取した骨を動かないようにチタン製のネジで止めます。その周囲に細かく採取した骨を貼付けるようにおき、メンブレンという人工膜を移植した骨の上にかぶせます。
その後、歯肉をもとの位置に戻して糸で縫います。
チタン製のネジは、移植した骨と歯槽骨が同化したら除去します。
※手術が終了した後は腫れや痛みが1週間ぐらいあることが予想されます。ピークは手術後2、3日です。また、内出血をおこして、お顔に赤紫色の斑点がでることも予想されますが、おおよそ2~3週間でなくなりますので、心配いりません。
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おおよそ、上顎の場合で6~8ヶ月、下顎の場合で4~5ヶ月で骨が見事に結合されます。きれいに骨が結合されていることを確認した後、チタン製のネジを除去し、インプラント1次手術を行います。
歯槽骨の量が十分にあるので、インプラント体(フィクスチャー)が歯肉から露出することがなく、歯肉から自然に歯が伸びているように見せることができます。
歯槽骨にとって、インプラントは天然歯の歯根と同じ様な役割を果たし、歯槽骨内に適正な機能圧を加えるので、歯槽骨の吸収を抑える効果も持っているのです。