治療前に
来院されてその日にインプラントの手術を行うことはできません。
なぜ歯を失ったのか?を再検証する必要があるからです。大別すると3つ考えられます。
歯周病・咬み合わせ・虫歯です。
残存している歯に対してこの三つの原因を除去する前処置が必要となります。
1. 歯周病的処置
2. 咬合的処置
3. 虫歯の予防処置
1.歯周病の前処置
歯を失う50パーセントは歯周病と言われています。したがってこの前処置は非常に大切であります。歯周ポケットに住む歯周病原因菌がインプラント周囲炎を引き起こすことが解ってきたからです。精密検査により残存歯が歯周病に罹患していることが分かった場合は、手術を行う前に歯周治療を終了させておくことが、インプラント治療を安全に行うためには必須となります。具体的には歯周ポケット深部にわたり歯根の歯石を除去する治療を行うことが必要です。
2.咬み合わせの前処置
インプラント治療は、適切な咬み合わせを取り戻す治療です。歯のない状態が長く続くと咬み合う相手の歯が出てきたり、隣の歯がよってきたりと、正しい咬み合わせを作るのが困難になってきます。そのためには咬み合わせを決めた後、ステントと呼ばれる仮の歯を作り、レントゲンやCTを撮影し、骨の形、歯の位置を診断し、コンピューター上でシミュレーションします。
3.虫歯の予防処置
インプラントは虫歯にはなりません。ただしその周囲の歯が虫歯になって、また抜歯になったら残念です。したがって虫歯の再発防止のため、限りなく無菌化にするため術前に行う場合があります。
インプラント治療は、手術前にどれだけ綿密な治療計画を立てられるかが成功率を高める一番のポイントとなります。
インプラントは天然の歯と同じく、細菌と咬み合わせの力によって、保存不可能となる場合があります。そのため、むし歯、歯周病の細菌がどれだけ口腔内に繁殖しているか、咬み合わせがどうなっているのか、理想的な咬み合わせの歯をつくるために、インプラントのポジションを考えた時に、その部分の骨は3次元的にどうなっているのかなどを術前に把握しておく必要があります。
全体のむし歯、歯周病の有無、顎の間接の状況、副鼻腔の炎症の有無、2次元的な顎の骨の厚みなどがわかります。
歯と歯茎の間には、正常な方でも1mm~3mm程度の歯周ポケットと呼ばれる空隙が存在しますが、4mm以上あると歯周病のリスクがあると判断できます。リスクの高い方は歯周病治療から始めたほうが良いでしょう。
口腔内にもともと存在している細菌の数や種類を把握できます。歯ブラシ指導や歯石取りなどの処置で、歯科衛生士によってコントロールします。
患者様の上下の歯列を方取りし、出来上がった模型を咬合器と呼ばれる器械に付着し、咬み合わせをチェックします。噛み合わせが悪いままでインプラント治療を行なっても失敗に終わります。また、この診査は顎の関節や天然の歯の将来性を診る上でも非常に重要といえます。
先程のX線診査に加えて、CTスキャンを行なうことにより、3次元的な骨の状態を把握できます。断層撮影ですので、術前に立体的な骨量、骨密度、神経や血管の位置がわかり、術中のトラブルをなくします。また、理想的なインプラントの埋入ポジションに充分な骨がない場合は、骨を造ってから行ないます。
歯と歯茎の間には、正常な方でも1mm~3mm程度の歯周ポケットと呼ばれる空隙が存在しますが、4mm以上あると歯周病のリスクがあると判断できます。リスクの高い方は歯周病治療から始めたほうが良いでしょう。
インプラントにとっても歯周病は大敵です。骨に埋め込む人工歯根(インプラント)はチタンでできています。チタンは生体親和性に優れ、アレルギー体質の方でも問題なく永久に骨と結合しますが、まわりの歯肉に炎症があると、インプラントと結合している骨に影響を及ぼす事があります。インプラント治療を成功に導く為には、手術をする前にお口の中全体の歯周病組織を良い状態にする事がとても重要であり、メンテナンスにより清潔に保つ事とバランスのチェックが必要不可欠になります。
お体の状態について
インプラントでは外科的手術を伴いますので、お体の状態や持病(糖尿病、高血圧症、心臓疾患、脳疾患など)については必ず担当の歯科医師に伝えて下さい。
常用薬剤について
日常服用されているお薬がある方は、事前に歯科医師へお伝え下さい。薬の種類によっては血液が止まりにくくなるものなどもあり、事前に休薬をして頂かなくてはいけない場合もあります。(動脈硬化の薬、糖尿病の薬、向精神薬、非ステロイド系抗炎症剤、経口避妊薬など)
顎やのどが弱い方
手術中は長い時間お口を開けていなくてはいけません。顎やのどが弱い方は、あらかじめ歯科医師に伝えて下さい。(休み休み施術する等の工夫をこらします。) 事前にわかっていれば、多少、顎やのどが弱くても手術は普通に行えます。